「国の権利侵害が本質」 法曹関係者が辺野古訴訟の本質を議論 日弁連が東京でシンポ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
辺野古新基地建設を巡る訴訟について議論する登壇者ら=5日、東京都の弁護士会館

 日本弁護士連合会は5日、東京都の弁護士会館で、一連の訴訟が続く米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設問題について議論するシンポジウムを開催した。専修大の白藤博行名誉教授(行政法、地方自治法)、東京都立大の木村草太教授(憲法学)、新外交イニシアティブ代表の猿田佐世弁護士の3氏が基調講演し、訴訟の問題点や今後の訴訟の在り方について議論した。

 白藤氏は新基地の設計変更不承認を巡る訴訟を解説し、「国と県の争いに見えるが国が県を相手に県民の自治権や基本的人権を阻害しているのが問題の本質だ」と強調した。公害のあった三重県四日市市が大気汚染防止法より厳しい条例で規制しようとするも許されなかった事例を引き合いに「地方自治が定められている日本でこんなことが許されるのか。同じことが(辺野古関連の訴訟で)起こっている」と指摘した。

 木村氏は、新基地建設の根拠が日本政府の閣議決定や日米両政府の協議になっている問題点を挙げ、「全ての手続きを(憲法95条に基づく)住民投票で正当化すべきではないか」と提起した。

 猿田氏は、新基地の計画段階から国際情勢が大きく変化し、大きな基地が標的にされる可能性に触れ「(新基地建設のような)大規模な建設は必要ないだろう」と話した。対米外交では、米軍基地を米国の好きにさせないというメッセージを発する重要性を示した。

 パネルディスカッションは基調講演の3氏のほか、岡田正則早稲田大教授(行政法)、県側弁護団の加藤裕弁護士も登壇した。
(明真南斗、金良孝矢)