1000枚の「記念写真」を地域の記録に 沖縄・東村慶佐次区、字誌「写真編」発刊 歩みを次代へ


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慶佐次区字誌「写真編」の編集長を務めた山城定雄さん=5月24日、東村

 【東】お祝い事や行事で撮影された「記念写真」を地域の歩みの記録として残し、受け継いでいく。東村の慶佐次区が1950年代以降の約千枚の写真を収録した「慶佐次区字誌写真編」をこのほど発刊した。写真に特化した「写真編」の字誌の発刊は県内では珍しい。写真に写る人々の名前も一人一人書き記しており、写真を見て次の世代が自らのルーツや、先祖を身近に感じてもらいたいとの願いが込められた。

 掲載された記念写真は、編集委員長を務めた山城定雄さん(70)が約30年前から、地域や郷友会の人から借り、使用許可を得てデータ化してきたものなど。「慶佐次の人々」として紹介している。収集した写真は数万枚におよぶが、歓迎会や研修旅行、忘年会など大勢が写るものを重視して選別し、確認しながら名前を記していったという。67年の「慶佐次出身会」の写真は宴会場とみられる場所で60人以上が並んで写っていた。

慶佐次区字誌「写真編」

 人々の表情は、笑顔をのぞかせたり、緊張した面持ちだったりと、さまざまだが、いずれも輪郭までくっきりと映し出されている。山城さんは「写真は記録であり、記憶でもある。いま地域の写真を残しておかないと歴史に埋もれてしまう」との思いで、編集に当たった。収集した数々のデータを引き継ぎ、将来的にはウェブでの公開などを進め、より多くの人にふるさとを感じてほしいと考えている。

 50年代以降の写真を収録しており、すでに亡くなってしまった人も多いが、手に取った人からは、写真に写る友人らを懐かしみ「ひたすら眺めている」との声も届けられている。

 写真編はフルカラーの247ページ。地域の美しい自然や年代ごとの集落の変遷、住民の沖縄戦記録も写真入りで紹介する。関連年表や許可を得て新聞紙面を掲載するなど、区の姿を多角的に取り上げた。発刊部数は300冊で、県内の公立図書館などに贈呈するほか、地域住民や郷友会の会員など、区にルーツをもつ人に無料で贈呈する。問い合わせは電話0980(43)2473(慶佐次公民館)。
(池田哲平)