台風2号直撃で養殖モズクに大きな被害 最大産地の勝連漁業、今季の収穫終了に追い込まれる 6月の売り上げゼロ


この記事を書いた人 琉球新報社
台風後に網の回収作業をするモズク漁師の上村直人勝連漁協浜支部長=7日、うるま市浜比嘉島の浜漁港

 県産モズクの4割を生産する県内最大産地の勝連漁業協同組合で、例年なら60~150トン程度の収穫量がある6月予定のモズク漁が台風2号の直撃でほとんど収穫できなくなり、1千~2千万円ほどあった同月の売り上げもほぼゼロになったことが7日までに分かった。例年4~6月が収穫最盛期だが、台風被害で収穫終了に追い込まれた。コロナ禍の需要減で買い取り価格も下がっており、漁師からは「台風と値下がりでダブルパンチだ」と悲鳴が上がっている。

 モズクは繊細で、陸揚げするとすぐに傷むため、台風による被害が予測できても収穫を早めることは難しいという。また卸売りの状況次第で、買い取り業者から収穫を制限されることもある。

 モズクは買い取り業者にもよるが、2018~21年は1キロ当たり150~200円ほどで取引されていた。だが、コロナ禍の外食産業の需要の落ち込みで、取引価格が下落。現在は1キロ当たり110~120円ほどで取引されている。2022年も台風などで収穫量が落ち込んだ。

 モズクの収穫最盛期は4~6月で、県漁連によると例年6月は全体の10%ほどの収穫量と少ない。漁を終えている漁師も多いが、6月の収穫で今期の利益を確保しようとしていた漁師にとって台風被害は大きな痛手となった。

 勝連漁協津堅支部の稲福正也支部長は「漁師によっては相当な収穫量を失っている。単価も下がっている中なので厳しい」と語った。

 コロナ禍で需要が減り、卸業者など取引先が在庫を抱える中、モズクの発注そのものが少なくなっているという。買い取り業者のかねお水産(うるま市)の稲福宰工場長は「需要が戻らずなかなか在庫が減らないので、漁師からいい条件で買うことができない状況だ」と語った。

 勝連漁協浜支部の上村直人支部長は「健康に良く、低カロリーでおいしい沖縄のモズクを県民にたくさん食べていただきたい」と消費拡大に期待した。
 (福田修平)