【記者解説】「県民は、沖縄を二度と戦場にしないと誓ったはずだ」嘉手納爆音訴訟団が自衛隊強化に反対する理由


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「沖縄の要塞化を止めてほしい」と話す第4次嘉手納爆音訴訟原告団の新川秀清団長(中央)ら=8日、県庁

 米軍嘉手納基地の騒音被害に苦しみ、米軍機の夜間や早朝の飛行差し止めを求めてきた爆音訴訟団が自衛隊の機能強化に反対する請願を市町村議会に出した。背景には、南西諸島の防衛力強化などを明記した安保3文書が昨年末に閣議決定されたことで、沖縄が「新たな戦前」(新川秀清原告団長)に置かれたという危機感がある。

 第4次嘉手納爆音訴訟は、嘉手納基地周辺8市町村の住民3万5566人が原告となり、夜間・早朝の飛行差し止めや損害賠償を求めている。米軍機の爆音の根本的な原因は、太平洋戦争で沖縄が戦場となり、日本の敗戦後に米施政権下に置かれたことにある。

 1982年の第1次訴訟の提訴以来、40年以上も司法の場で訴え、裁判所も「一部少数者に特別の犠牲が強いられていると言わざるを得ず、看過できない不公平が存する」(第3次嘉手納爆音訴訟控訴審判決要旨)などと認定していながらも、爆音は除去されていない。

 さらに外来機の飛来が増加する中、訓練の激化で爆音被害の地域も拡大している。第4次訴訟では、新たに宜野湾市や北中城村、恩納村の住民も原告に加わった。

 今回の請願は、議員団の会議で声が上がり、各支部の意見を集約して決定したという。議員団代表の諸見里宏美沖縄市議は「県民は沖縄を二度と戦場にしてはならないと誓ったはずだ。黙って野放しにするわけにはいかない」と話した。各市町村の議会は、爆音被害を受け、「新たな戦前」に危機感を抱く住民の声に真摯(しんし)に向き合う必要がある。 (沖田有吾)