世帯収入、200万円未満が2.5ポイント増 「衣.食」の確保難しく、病院受診も抑制<2022年度沖縄子ども調査>


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 沖縄県が6月8日に公表した2022年度沖縄子ども調査「高校生調査報告書」では、16年と19年の調査結果と同様に、所得が低い世帯ほど、衣料や食料の確保が難しく、病院の受診を抑制しがちで、抑うつ傾向が高いことが改めて浮き彫りとなった。さらに低所得層ほど離婚の割合が高く、7~8割が養育費を受け取っていなかった。

200万円未満 2.5ポイント増 世帯収入、300~400万円最多18.7%

 世帯収入額(年間のボーナス含む手取額、社会保障給付金等も含む)を階層別にみると、最も多い層は300~400万円の18.7%で、前回の19年調査より2ポイント増加した。19年調査で最多だった200~300万円の層は3.8ポイント減少し15.2%だった。ボリューム層が100万円上の層に移行していた一方、困窮層が多いと思われる200万円未満は19年調査より2.5ポイント増加し、17.1%となっている。

 100~200万円は0.7ポイント増の12.8%、100万円未満は1.8ポイント増の4.3%だった。500~600万円は1.7ポイント増の12.6%だった。600万円以上の層は、横ばいか減少している。

 母親の収入は100万円未満が35.5%で最も多い。200万円未満は66.6%で19年調査より2.4ポイント減少した。200万円以下は、減少傾向にある。

 父親の収入は200~300万円が24.3%と最も多かった。200万円未満は0.3ポイント減の19%で、ほぼ横ばいだった。


「食料買えない」49% 困窮層、一般層の4倍

 

 買いたい食料が買えなかった経験を持つ保護者の割合は、所得が低いほど高くなり、一般層と困窮層を比較すると約4倍の差がある。

 食料が買えなかった経験について、困窮層(低所得層I=4人世帯で年収254万円未満)の保護者は「よくあった」が8%、「ときどきあった」は17%、「まれにあった」は23.9%で、三つの選択肢を合計すると48.9%に上る。一方、一般層は「よくあった」0.7%、「ときどきあった」3.4%、「まれにあった」8.4%で、計12.5%だった。

 衣料が買えなかった経験も一般層と困窮層の差は大きく約3倍だった。

 困窮層は衣料を買えないことが「よくあった」14.9%、「ときどきあった」20.2%、「まれにあった」25.2%で、計60.3%だった。一般層は「よくあった」2.2%、「ときどきあった」4.6%、「まれにあった」13.4%で、計20.2%だった。

 前々回の16年調査、前回の19年調査と比べると食料.衣料共に買えなかった経験は少なくなっているが、改善幅は小さくなっている。


低所得層、受診抑制2割超 抑うつ傾向、一般層の2倍

 

 病院や歯医者を受診する必要性を感じつつも子どもに受診させなかった経験のある保護者は、全体で20.0%。低所得層Iでは28.1%で、低所得層II(4人世帯で年収254万円~381万円未満)でも23.3%と2割を超えている。

 公的医療保険に加入しているが「医療機関で自己負担金を支払うことができなかった」とする理由が低所得層Iで33.0%、低所得層IIで28.0%で、経済格差が医療を受ける機会にも響いている。低所得層Iでは医療保険に加入しておらず、支払いもできないとする回答が3.3%あった。

 経済状況が与える抑うつ傾向では、うつ病などの検査目的で開発された「K6質問票」を用いて分析。所得が低いほど生徒と保護者の抑うつ傾向が高く、低所得層Iの保護者では、中程度の気分.不安障害相当、重度抑うつ.不安障害相当が一般層の2倍以上だった。保護者のメンタルヘルスは子どもにも影響を与えるため、困窮緩和策と合わせた支援が必要となっている。

 ワクチン接種では、有料のインフルエンザワクチンだけでなく、無料の新型コロナウイルスワクチンでも、低所得層ほど接種を控える傾向があった。コロナワクチンについては、親の方針や考えで接種しなかった割合が低所得層ほど高かった。