困窮層、離婚後の78%が養育費受け取らず 高校進学は「交通費」重視<2022年度沖縄子ども調査>


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 沖縄県が6月8日に公表した2022年度沖縄子ども調査「高校生調査報告書」では、16年と19年の調査結果と同様に、所得が低い世帯ほど、衣料や食料の確保が難しく、病院の受診を抑制しがちで、抑うつ傾向が高いことが改めて浮き彫りとなった。さらに低所得層ほど離婚の割合が高く、7~8割が養育費を受け取っていなかった。


困窮層 離婚46%/78%養育費受け取らず

 今回の調査では婚姻状況と養育費の有無も調べており、「離婚(別居中)」の回答は低所得層Iで46.0%、低所得層Ⅱで20.0%だった。離婚相手との養育費の取り決めや受け取る割合も低所得層ほど低く、Iで78.4%、IIは73.6%が養育費を受け取っていなかった。

 生活の相談相手に関する質問について、「重要な事柄の相談」で頼れる相手がいないとした低所得層Iは15.3%で一般層5.4%の約3倍だった。「いざという時のお金の援助」で頼れる相手がいない低所得層Iは35.8%で、一般層16.0%の2倍以上となっている。

 低所得層の孤立が、親の借金や教育環境の悪化から生じるさらなる困窮を生み出さないためにも家庭相談の充実といった施策が重要と指摘した。

 親の15歳当時の暮らし向きについての質問では、低所得層Iは20.7%が「大変苦しい」と回答。成人前の苦しい体験では両親の離婚や親からの暴力、育児放棄は他の層より割合が高かった。


進学時、交通費重視49%

 高校への進学時に、通学交通費を「非常に重視した」「やや重視した」との回答は低所得層Iで49.5%、低所得層IIでは45.9%で、経済的な負担感が生徒が望む進路決定にも影響している。「非常に重視した」「やや重視した」は19年度と比較し4ポイント増加していた。

 公共交通機関を利用した1カ月当たりの通学費については、低所得層Iの43.4%が「交通費はかからない」と回答した。要因として、県バス通学費等支援による補助を受けている低所得層Iが63.3%いることから、交通費がかかっていないとみられる。

 同事業は非課税世帯などを対象としているが、自由記述の回答では、課税世帯でも日々の通学費が家計を圧迫しているとの声もあり、同事業の充実化や対象の拡大を求める声も目立った。