辺野古側へさらに100万㎥の土砂搬入へ 大浦湾埋め立て用に集積か 防衛局、設計変更前に


この記事を書いた人 琉球新報社
埋め立て工事に必要な設計変更が未承認となっている大浦湾側の水域=2月撮影、名護市

 名護市辺野古の新基地建設で、沖縄防衛局が辺野古の埋め立て区域に合計100万立方メートルの土砂を積む土木工事の業者を募る入札手続きを進めていることが15日までに分かった。辺野古側の埋め立て区域に必要な土砂量を大幅に超える。市民団体は設計変更が必要な大浦湾側の埋め立てに使う土砂の「仮置きだ」とし、設計変更が未承認の中では「違法」だと指摘。県も「設計変更申請の範疇に入る可能性がある」として確認を進める。

 沖縄防衛局が2020年4月に県へ提出した設計変更承認申請の関連書類によると、工期短縮のため、埋め立て工事が早い段階で終わる辺野古側の埋め立て区域に「埋め立て土砂等を仮置きする」ことが記されており、その一環とみられる。

 沖縄防衛局は15日、土砂の置き場所を含む工事の詳細は「現在契約手続き中であることから、お答えできない」と述べるにとどめた。

 沖縄防衛局の入札関連資料によると土木工事に使う材料は「石材(岩ズリ)」で辺野古の埋め立て材料と一致する。造成工事は1工区と2工区に分割され、それぞれ50万立方メートルを造成する。

 入札は5月31日に締め切られ、開札は7月20日に行われる予定。工事の着手時期は10月で、工期は来年9月30日までとしている。

 防衛省によると、辺野古側を埋め立てるには約319万立方メートルの土砂投入が必要だが、5月末現在で約95%に当たる約304万立方メートルが投入済みだ。

 残る投入予定量は約15万立方メートルにとどまり、今回の土砂発注分は必要量を大幅に超える。大浦湾側の工事に備える可能性がある。

 15日、県庁で前川智宏土木建築部長らと面会した沖縄平和市民連絡会の北上田毅氏は、「防衛局がまだ契約していない段階で、県は工事は認められないと対応すべきだ」と訴えた。
 (知念征尚)