【東京】沖縄県の池田竹州副知事は16日、米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設を巡る総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」(菊池洋一委員長)の3回目の会合に出席し、意見陳述した。
池田副知事は、新基地建設のために沖縄防衛局が提出していた、サンゴの特別採捕許可申請を県に許可するよう求めた農林水産相の「是正の指示」について、「地方自治法の趣旨を逸脱した違法なものであり、直ちに取り消されるべきものだ」と改めて指摘した。
地方自治法の規定を踏まえて係争委が7月末までに結論を出すまでに、県知事側と農水相側がそれぞれ意見陳述する最後の機会だった。
玉城デニー知事の代理だった池田副知事のほかに県の代理人である加藤裕弁護士らが出席した。
池田副知事は、県がサンゴの特別採捕を認める前提となるサンゴ類の生息場所での地盤改良工事の承認を受けていない点を踏まえ、農水相の「是正の指示」が「裁量権の範囲の逸脱またはその乱用にあたる」と訴えた。
一方、農水相の代理人として出席した水産庁幹部は、県が沖縄防衛局の設計変更申請を承認するよう求めた国土交通大臣からの指示に従わない県の事務処理が「違法」と指摘。沖縄防衛局が「適法に埋め立てができる法的地位を利用されてしかるべき状況にある」などと工事が行われることを前提として農水相の指示の妥当性を主張した。
双方の陳述への質問も行われ、県側は、農水相側に「是正の指示」にまで踏み切った事例が過去になかった点を確認した。会合後の会見で、池田副知事は、農水相が異例の対応を取った点も踏まえ、「指示は根拠を欠く」と指摘した。