在日米軍、全ての消火設備を「減PFAS剤」にすると発表 沖縄は来年9月まで交換作業 識者「土壌や配管に残留」と指摘


この記事を書いた人 琉球新報社
2020年には米軍普天間飛行場からPFOSを含む泡消火剤が大量に流出し、住宅地に迫った=2020年4月11日、宜野湾市の宇地泊川(金良孝矢撮影)

 【東京】在日米軍司令部は16日、全ての米軍施設の消火設備について、2024年9月末までに有機フッ素化合物(PFAS)を低減した「非フッ素泡消火薬剤(F3)」か、水による消火設備に切り替えると発表した。専門家は汚染は低減されるとの見通しを示しつつ、既に流出したPFASへの対応が重要だと指摘している。

 F3の導入に先立ち日本全国の海軍や海兵隊施設では、PFASのうち特に有害性が指摘されるPFOSとPFOAを含む泡消火剤を処分し、両物質を含まない薬剤に切り替えたと説明した。ただ、PFOS、PFOA以外にも毒性が指摘されるPFASは存在しており、交換後の薬剤にも含まれている可能性がある。

 また、F3について在日米軍司令部は「PFASを含まない」と説明しているが、米連邦航空局の資料によると1リットル当たり千ナノグラムまでは許容されている。

 沖縄の陸軍貯油施設については泡消火剤設備を解体し、水消火設備に置き換えるという。県外の米陸軍施設では既に交換が終わったが、沖縄では2024年9月までに終えるとしている。空軍基地は三沢基地のみ交換を終えている。使用するPFASを減らしていく取り組みは、米国防権限法に基づく。

 京都大学の原田浩二准教授(環境衛生学)は消火剤の交換について「今後の汚染が増えないという点では歓迎すべきことだが、これまでに流出したPFASは土壌などに残っている。交換しただけで終わらない問題だと認識すべきだ」と語り、交換時は「消火設備の配管などに残留していないか注意が必要だ」と指摘した。
 (明真南斗)