6月の「ハンセン病に関する正しい知識を普及する月間」に合わせて、琉球新報は県内41市町村にハンセン病に関するアンケートを実施した。各自治体で生活するハンセン病回復者の実数について「把握していない」との回答が35市町村(85%)に上った。県は22年に設置した県ハンセン病問題解決推進協議会での支援を急ぐが、実務を担う地方行政が回復者の実情を把握できていない現状が浮き彫りとなった。
アンケートは5月24日~6月5日にかけて配布、回収した。
「把握している」は北大東村や多良間村など小規模離島の6村(15%)で、「村内在住者は0人」などと回答した。
把握できていない理由として「回復者や家族からの相談や申し出がないと難しい(金武町)」「調査する行政上の仕組みがない(沖縄市)」などの回答が過半を占めた。
「ハンセン病のことについて隠している方が多いので、聞き取りなどに応じてもらえないことが考えられる(名護市)」など、回復者側が差別や偏見を恐れて行政との接点を望まない状況があることに触れる回答もあった。
ハンセン病について学ぶ場があれば参加したいかどうかについて38市町村(93%)の担当者が「はい」と回答し、ハンセン病問題への関心の高さをうかがわせた。「いいえ」は3村(7%)だった。
県ハンセン病問題解決推進協議会は回復者らが地域社会での「生きづらさ」解消を求め、県に繰り返し設置を要請し、2022年9月に立ち上がった。当事者や支援者、専門家、行政が一丸となり、偏見・差別の解消や高齢化が進む元患者らを医療、福祉の両面で支援する体制確立を目指す。
(佐野真慈)