今回は琉球王朝の伝統菓子の冬瓜漬と橘餅の職人で謝花きっぱん店の謝花ひさのさん(45)を紹介します。冬瓜漬や橘餅は300年ほど前に中国・福州から伝わったとされる菓子で、当時は王族など特権階級しか口にすることができなかったそうです。同店は約134年の歴史ある老舗です。謝花さんは「父の代で終わりにしたくない」と、夫や子どもたちと暮らしていたイギリスから沖縄へと移り住み家業を継ぎました。師匠でもある父、寛徹さん(73)のもと修行を重ねています。その日の天候や原料の状態で水加減などが違うため、製造には経験と細心の注意が必要とされます。「伝統の味を守りながら若い人たちにも手にとってほしい」と夫と共に開発した「冬瓜漬アソート」など、日々おいしい菓子作りに励んでいます。
文と写真・喜瀬守昭、協力・謝花きっぱん店(2022年09月11日付 りゅうPON!掲載)
【冬瓜漬の砂糖を整える】
砂糖を付ける仕上げ作業をする店主の謝花ひさのさん。トウガンの果肉と砂糖のしゃりしゃり感と甘さが混じり合い独特の食感を生み出しています=那覇市松尾の謝花きっぱん店
【冬瓜漬を砂糖に投入】
シンメー鍋から取り出した冬瓜漬をグラニュー糖の入った容器の中へ投入します。
【シンメー鍋】
シンメー鍋に朝早くからカットしたトウガンを砂糖と水で5~6時間煮詰めます。
【包丁】
研ぎ澄ました包丁で大きなトウガンも手慣れた手つきで整えたサイズにカットしていきます。
【ひしゃく・へら】
長年使い慣れた、ひしゃくとヘラで水分量の加減やかき混ぜる感覚が大切で、伝統の味を作り出しています。
【冬瓜漬を砂糖に付ける】
冬瓜漬をグラニュー糖の入った容器の中ですばやくまぜながら砂糖を付着させます。
【トウガン】
冬瓜漬を作る原料のトウガンは契約農家から仕入れており、品質や安定供給に努めています。
【冬瓜漬アソート】
5種類の味が楽しめる「冬瓜漬アソート」。(緑色の物から時計回りに)抹茶、ショウガ黒糖、ココナツ、プレーン、丹波の黒豆入りきな粉の味。伝統に新しさがプラスされた商品です。2014年に「第36回那覇の物産展」最優秀賞を受賞しました。
【橘餅(きっぱん)】
謝花きっぱん店では、やんばる産のカーブチーやクネンボなどの柑橘類を使用してます。
【冬瓜漬】
トウガンを水と砂糖で煮詰めた菓子で茶漬けや料理などに合わせて食べてもおいしいという人もいます
【謝花ひさのさん】
伝統の味を繋いでいきたいと笑顔で語る謝花きっぱん店の店主の謝花ひさのさん