塩職人の高江洲優さん(51)はうるま市の浜比嘉島で、昔ながらの「流下式塩田」で海水から100パーセント自然由来の塩を作っています。流下式塩田は、高さ3.5メートルの竹枝からポンプでくみ上げた海水を落とし、それを循環させて水分を蒸発させ塩分の濃い海水を作る方法です。その濃縮海水を工房の釜で炊きあげると塩の結晶ができます。最大の敵は雨です。海水に雨が混ざってしまうと、やり直さなければなりません。「雨が降ったらシオック」と高江洲さんは得意のだじゃれも交えて教えてくれます。高江洲さんは製塩会社に務めた後、2009年に高江洲製塩所を開業。自然の力を利用するため全く同じ塩はできません。「今も毎日が試行錯誤」と言います。将来は「日本の塩作りを海外に広め、社会貢献したい」と目を輝かせていました。(2023年03月12日付 りゅうPON!掲載)
協力・高江洲製塩所
文と写真 小川昌宏
【炊き上がり】
立ち上る蒸気の中、炊き上がった塩を取り出す高江洲優さん。工房内の気温は夏、50度に迫ります=うるま市勝連比嘉
【高さ3.5メートルから】
高さ3.5メートルの流下式塩田。竹ぼうき1000本分の竹枝が使われています。
【濃縮中】
竹枝から落ちる濃縮中の海水。太陽と風の力で水分を蒸発させ、時間をかけて塩分濃度の濃い海水を作ります。濃縮海水作りには、冬で1日、湿度が高い夏は2~3日かかります。
【大型の釜】
縦5メートル横2メートルの平釜。底には蒸気が流れるパイプがあり、一度に800リットルの濃縮海水を入れ、160キロの塩ができます
【塩の華】
平釜底の蒸気が流れるパイプに沿って現れる塩。「塩の華」と呼ばれるそうです。
【蒸気】
蒸気が立ちこめる工房内は空気を循環させるため、2月でも扇風機が回りっぱなしです。
【木々に囲まれ】
浜比嘉島の奥で、木々に囲まれている「流下式塩田」。
【さらさらと】
炊き上がった塩の結晶。乾燥させるため、数日間かき混ぜる作業を繰り返します。
【工程を説明】
見学者に製塩方法などを説明する高江洲優さん(右)。「工程を知って塩を選んでもらえれば喜びもひとしお」と得意のだじゃれも。
【自慢の品です】
看板商品「浜比嘉塩」を手に、笑顔の高江洲優さん