「慰霊の日」って何だろう? 一人一人が向き合い、考える<ニュースはじめの一歩>


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昨年の慰霊の日に平和の礎を訪れた人たち=糸満市摩文仁の平和祈念公園

 Q: 慰霊の日って何だろう?

 

 A: 1945年の沖縄戦は「ありったけの地獄を集めた」と表現されます。日本軍の死者とほぼ同じ約9万4千人の住民が犠牲になりました。県出身の軍人を合わせると12万2千人超となり、県民の4人に1人が亡くなりました。犠牲者を追悼し、二度と戦争を起こさないと誓い合う日です。

 沖縄戦で日本軍を率いた司令官が自決した日であることから、戦いの事実上の終結の日として1961年に琉球政府立法院が祝祭日と定め、犠牲者を追悼する休日として浸透していきました。

 この法律で慰霊の日は6月22日でした。司令官が亡くなったのが23日という証言などを基に65年に法改正され、慰霊の日は23日となりました。

 ただ、沖縄戦で日本軍は投降を許さなかったため、組織的な戦闘が終わった後も住民を含め犠牲者が増え続けました。軍は作戦を最優先し、住民を守らないという沖縄戦の教訓と合わせて忘れてはならない事柄です。

 72年に日本復帰すると、慰霊の日は法律で定めた休日ではなくなり、県条例による県職員の休日となりました。74年には現在の「『慰霊の日』を定める県条例」が施行され「惨禍が再び起こることのないよう」「恒久平和を希求するため」と意義付けられます。

 88年に国の法律によって、地方独自の休日を設けることが認められなくなり、慰霊の日の休日廃止問題が起こりました。存続を求める動きが広がり、多くの県民が廃止に反対しました。県の要請などによって、法律が改正され、慰霊の日は法律でも認められました。沖縄戦の史実に一人一人が静かに向き合い、平和について考える大切な日は県民が守った休日でもあります。
 


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