沖縄の密漁対策、各国の研修生が学ぶ 北部漁協の連携例を紹介 JICA研修


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本島北部地域の密漁対策について学ぶ研修生ら=15日、国頭村の国頭漁業協同組合漁民研修ホール

 【国頭】国際協力機構(JICA)の主催で違法・無報告・無規制(IUU)漁業対策を学ぶ研修生らが15日、国頭村の国頭漁業協同組合を訪れ、本島北部地域における密漁防止対策について説明を受けた。JICAのIUU漁業対策研修は2019年から毎年実施され、参加者は日本の対策を学びながら自国で導入可能な対策などについて検討する。今回の研修では本島北部の複数の漁協が共同で密漁対策を実施していることが参考になるとして、研修の一環で初めて沖縄を訪れた。

 沖縄本島北部の沿岸や海洋で密漁が後を絶たない状況を受け、本島北部地域の九つの漁業協同組合は昨年7月、北部地区漁協密漁防止対策連絡協議会を設立し、定期的なパトロールや密漁防止ポスターの作成などを通じた対策に取り組んでいる。同協議会の取り組みや密漁防止の課題などについて説明した国頭漁協の大城力さんは、密漁対策について「粘り強く継続していくことが大切だ」と語った。

 説明を受けた参加者からは密漁対策への妨害行為や国の支援などに対する質問が出た。ソロモン諸島で違法漁業の取り締まりに携わるチャーリー・グレイスさん(37)は「密漁対策は地元への理解を求め、住民やレストランなどの協力を得ることも重要という考え方は新鮮だ」と感想を語った。

 プログラムにはアフリカや東南アジアなどから8カ国の水産に関わる行政官が参加した。密漁防止に関する説明の前には漁協内の水産施設や競りなどを視察した。
 (武井悠)