【深掘り】7月1日の那覇-上海は予約率50%… 中国直行便が再開もコロナ前の集客が見込めぬ理由 


この記事を書いた人 琉球新報社
台湾、香港、韓国路線が就航する那覇空港国際線。中国本土便は7月1日に再開する=13日、那覇空港

 中国東方航空は7月1日に、那覇空港と結ぶ中国本土便を3年4カ月ぶりに再開する。入域外国客が過去最高となった2018年度は、中国本土から沖縄への入域客は69万人と、全体の約23%を占めた。インバウンド(訪日客)復活の要となる中国本土からの入域客を安定的に迎えるには直行便の安定運用が不可欠だが、中国側の団体ツアーの制限や、日本人が中国の査証(ビザ)を取得する際の煩雑さもあり、長期的な路線の安定には時間がかかりそうだ。

 2020年の1月時点まで、中国本土と那覇をつなぐ定期便は上海、北京、天津、杭州、南京、重慶の4社6路線が就航していた。

 今回、中国東方航空が再開する那覇-上海路線は、コロナ前の7月の平均予約率は75%ほどだったが、今年は団体客が見込めず50%程度にとどまる。

 外務省外国人課の担当者によると、日本側は中国客に対して特に制限を設けていない。一方、中国政府は新型コロナウイルスの流行で海外への団体旅行を20年1月から禁止しており、団体客の訪日は皆無だ。中国政府は今年2月にタイやロシアなど20カ国で制限を解除したが、日本や米国に対しては制限を継続している。解除の基準は明らかにされていない。

 また、日本人が中国に行く場合も、コロナ前はパスポートがあれば15日間滞在できたが、今は1日でもビザが必要となる。また、コロナ前は日本沖縄華僑華人総会がビザの発行手続きを代行していたため、県内で申請から受け取りまで可能だったが、現在はウェブで申請後に県外の領事館での面接が必要となる。

 日本沖縄華僑華人総会の東江芝軍会長は「ネットの申請書類がとても煩雑な上に、ビザ取得のために福岡まで行かなくてはならない。中国は今、簡単に行ける場所ではない」と話した。

 中国東方航空沖縄支店の潘彦霖(バン・イエンリン)支店長は「中国に入国するビザの手続きはコロナ前に戻っておらず、チケットの販売にもある程度影響している」と話した。

 2018年は過去最高の300万800人を記録した外国人入域客だが、コロナ禍で20年、21年はともにゼロだった。22年度は台湾、韓国、香港便の再開により、20万100人を記録した。
 (與那覇智早)