沖縄、全国一高いコロナ感染の波 救急の搬送先決まらず1時間半の現場待機も 県が緊急会見「軽症者は救急受診控えて」


この記事を書いた人 Avatar photo 與那嶺 松一郎
救急搬送のイメージ

 5月下旬から新型コロナウイルスの感染が再拡大して県内7医療機関が救急診療を制限する中、救急搬送の現場では病院への搬送照会が10回に上ったり、搬送先が決まらず最長96分も駆け付けた現場で待機したりする事態が起きている。22日に緊急記者会見を開いた県の糸数公保健医療部長は「救急医療を守ることが県民の命を守ることにつながる。軽症の方は救急受診を控えてほしい」と求めた。

 県防災危機管理課によると、12~18日の県内消防の救急搬送事例で、医療機関に4回以上受け入れを照会したのは計39件あり、患者1人で10カ所も問い合わせた事例もあった。現場に30分以上滞在した件数は61件だった。7~8月に救急搬送が危機的状況に陥った2021年や22年と比べ、負荷が高まる時期が前倒しになっている。

 22日に発表された定点報告では患者数が前週比1.56倍の1552人と急増し、入院患者も500人を超えた。流行の波は「日本の中でトップランナー」(糸数部長)の状態だが、ピークはまだ見えない。

 感染性の高いウイルスの影響で院内クラスター(感染者集団)も起きている。感染で休む県立病院職員は21日時点で158人いる。県内の医療体制はコロナ禍前から病床使用率が高く、需給バランスが崩れやすいため、現状は適正な医療が難しい状態だ。

 糸数部長は「1カ所が救急制限すると他院の負荷が増大し、制限が加速的に広がる。今の段階から適正受診を求めたい」と県民に訴えた。自宅療養に供えるため、市販の薬や抗原検査キットの準備も呼び掛けている。