沖縄戦で所有者不明になった土地、2694筆の98ヘクタール 改正民法で利活用に光明も


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県内に残る所有者不明土地の一つ=2022年6月、那覇市(県提供)

 沖縄戦の組織的な戦闘が終結したとされる1945年6月23日から78年となる「慰霊の日」を迎えた。県内には今なお生活を脅かす不発弾が残り、所有者不明土地は未解決、遺骨収集は難航する。戦後処理は終わっていない。「戦後」は歳月を重ねる一方、近年は政府による南西諸島の軍備強化や、沖縄を取り巻く国際情勢が厳しさを増し「新たな戦前」の危険性が指摘されている。

 沖縄戦によって土地関係の公図、公簿類が焼失し、いまだに所有権が不明となっている所有者不明土地は3月31日現在で2694筆、約98.12ヘクタール、37市町村に存在する。これらの土地は復帰特別措置法に基づいて県や市町村が管理するが、戦後78年が過ぎた今、所有者の特定は一層困難視されている。ただ、4月から土地を管理する自治体や土地が所在する自治会代表者らによる売却などが可能となる改正民法が施行されたことで、所有者不明土地問題の解決に向けた光明も見えている。

 県管財課によると、改正民法に基づき自治会が所有者不明土地の売却などに向けて裁判所に申請したケースはまだない。県としても所有者不明土地の利活用はまだ具体化していない。所有者不明土地は沖縄戦後の1946~51年に米施政権下で行われた土地所有権認定作業で、所有者の申請がなかったり、申請されたが所有権証明書の受領がなかったりした土地や建物を指す。

 土地の地目が「墓地、社寺用敷地、霊地、聖地」などに属する場合は土地の所在する市町村が管理を行い、それ以外の山林や原野などは県が管理している。

 県は本年度、所有者不明土地管理特別会計に3千万円を計上して土地の管理に当たっている。
 (梅田正覚)