土の上をチョコチョコ歩き、触るとコロンと丸くなる姿がかわいいダンゴムシ。みなさんも公園や庭の落ち葉の下で一度は見たことがあるのではないでしょうか。ダンゴムシの仲間は日本では3科25種ほど報告されています。今回は世界中に広く分布し、県内でも最近確認されるようになったオカダンゴムシと在来種のコシビロダンゴムシを紹介します。(2020年09月27日付 りゅうPON!)
コシビロダンゴムシ類
全長8ミリほどの小型のダンゴムシで体色は茶褐色。日本全国にいる在来種です。オカダンゴムシは尾部がすぼまっていますが、コシビロダンゴムシ類は扇形で広がっています。コシビロダンゴムシ類は日本各地で地域独自の在来種が見られます。
分類:ワラジムシ目 コシビロダンゴムシ科 コシビロダンゴムシ
学名:Venezillo SP
方言名:なし
オカダンゴムシ
全長15ミリほどの大型のダンゴムシで暗褐色や紫黒色で光沢があります。朽ち木、落ち葉、石の下などで1年中見ることができます。ヨーロッパ原産の外来種で、市街地でよく見られます。
分類:ワラジムシ目 オカダンゴムシ科 オカダンゴムシ
学名:Armadillidium vulgare
方言名:なし
自然界の分解者 ~陸にすむエビの仲間~
ダンゴムシの仲間はワラジムシ類とともに陸生の甲殻類で、エビやカニの仲間です。体は頭部、胸部、腹部、尾部に分かれ、足は7対14本あります。その一番の特徴はコロンと体を丸めて球形になること。これは堅い皮膚で身を守り、転がりやすい形になって敵からの攻撃を逃れるためのものです。
ダンゴムシのすみかは森や林、庭の生け垣や学校の堆肥置き場など、落ち葉が積もった湿った場所。落ち葉や小動物の死体を食べます。
自然界には光合成で無機物から有機物を作る生産者(植物)と、生産者が作った有機物を食べる消費者(動物)、そして、生産者や消費者の遺体や排せつ物を無機物に分解する分解者(菌類・細菌類)がいます。分解者が分解した無機物を植物が栄養素として吸い上げて有機物を作り出します。
ダンゴムシは落ち葉や小動物の死体を食べ、そのふんを細菌や菌類が無機物に分解します。ダンゴムシは、ミミズやヤスデ類とともに分解者の一員として生態系で重要な役割を果たしています。
(監修、写真提供・安座間安史 琉球大学教育学部・教職センター非常勤講師)
本島、石垣島、与那国島… ~地域で異なる固有種~
コシビロダンゴムシ類は日本各地で地域独自の在来種がいます。沖縄でもシュリコシビロダンゴムシ(沖縄島)、ヤエヤマコシビロダンゴムシ(石垣島)、ドナンコシビロダンゴムシ(与那国島)など、地域・島ごとに少しずつ異なる固有種が報告されています。今のところ沖縄県から9種類が報告されています。
<まめ知識>
外来種のオカダンゴムシはヨーロッパが原産地で明治時代以降に日本に入ってきました。今では日本中の市街地で普通に見ることができるほど増えてきました。それに対し、山地の森林などには日本在来種のコシビロダンゴムシ類がすんでいます。
沖縄では復帰前までオカダンゴムシの目撃記録はありませんでした。1980年代には芝で覆われた公園などでポツポツと見る程度でしたが、2000年代中頃から沖縄島のあちこちでオカダンゴムシの集団が見られるようになりました。今では那覇市内の小学校の落ち葉集積所で多数のダンゴムシ集団が見られます。
現在、オカダンゴムシの少数集団(3個体以下)の目撃例の北限は今帰仁村、複数集団(5個体以上)の目撃例は宜野湾市が北限のようです。今後外来種のオカダンゴムシ集団がどのように分布域を広げ定着していくか、気になるところです。皆さんも自宅周辺の生け垣のダンゴムシを調べてみませんか。