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<沖縄いきものマスター> 身近な植物 面白い仕組みも ゲットウ


<沖縄いきものマスター> 身近な植物 面白い仕組みも ゲットウ 真っ白なつぼみを付けて、開花を待つゲットウ=2019年4月、那覇市
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 沖縄おきなわ梅雨つゆおとずれをげるゲットウ。沖縄おきなわでは旧暦きゅうれき12がつ8日ようかの「ムーチーの」に、ゲットウのつつんだもちべ、厄払やくばらいや健康けんこう長寿ちょうじゅねがいます。ゲットウはショウガの仲間なかまで、はとてもかおりがします。からられた成分せいぶんはアロマオイルとして使つかわれたり、化粧けしょうひん利用りようされたりします。また、繊維せんい丈夫じょうぶなのでバッグやぬのつくったりもできます。みなさんのまわりに、いていないかさがしてみましょう。

(2019年06月16日付 りゅうPON!掲載)
(写真・監修 琉球大学理学部教授 傳田哲郎さん)


分類ぶんるい:ショウガもくショウガ  

学名がくめい:Alpinia zerumbet (Pers.) B.L.Burtt et R.M.Sm.  

和名わめい:ゲットウ  方言ほうげんめい:サンニン(沖縄おきなわ本島ほんとう)、サミン(八重山やえやま地域ちいき)  

特徴とくちょう沖縄おきなわではあちこちでられます。沖縄おきなわ本島ほんとうでは5~7がつ開花かいかシーズンで、6がつ上旬じょうじゅんがピークです。はなは、早朝そうちょうひら夜中よなかにしぼんでしまう、いちにちばなです。あきにはあかけます。

沖縄では、旧暦12月8日「ムーチーの日」にゲットウの葉で巻かれた餅を食べる風習があります=浦添市前田

<まめ知識>不思議ふしぎ!びっくり!ゲットウの受粉じゅふん

 ゲットウは、めしべとおしべの役割やくわり時間じかんたいことなる面白おもしろ植物しょくぶつです。午前ごぜんちゅう花粉かふんす「ゆうせいせんじゅくがた」と、午後ごご花粉かふんす「せいせんじゅくがた」の2種類しゅるいがあります。どちらのはなつかは個体こたいごとにまっています。

 花粉かふんているとき、おしべの先端せんたんにあるめしべはうえいています。一方いっぽう花粉かふんがなくなると、めしべがうごいて下向したむきになります。めしべの上下じょうげきは、花粉かふんけた昆虫こんちゅうはななかはいってきたとき受粉じゅふんできるかどうかを左右さゆうする重要じゅうようなポイントです。

ゲットウのミツを吸いに来たミツバチ。背中には、花粉が付いているのが分かるね

 ハチなどの昆虫こんちゅうはゲットウのみつ大好だいすきです。みつとき花粉かふん背中せなかいた昆虫こんちゅうが、べつはな移動いどうしてめしべにれると受粉じゅふんします。
 つまり、午前ごぜんちゅう花粉かふんしているゆうせいせんじゅくがたからめしべがしたいているせいせんじゅくがたに、午後ごごはそのぎゃく方向ほうこう昆虫こんちゅう移動いどうすることで受粉じゅふんができます。

 おなかたはな個体こたいとの交配こうはいけ、遺伝いでんてき多様たようせいたも仕組しくみです。

おしべからめしべに変わる「雄性先熟型」。花粉がたくさん出ているのが見えるかな?
めしべからおしべに変わる「雌性先熟型」。先端の柱頭部分がたれ下がっているね

 ゲットウをつけたらハチになったつもりで、はな観察かんさつしてみてください。面白おもしろ発見はっけんがあるかもしれません。

(写真提供、傳田哲郎さん)