今回紹介するベニアジサシは、5月半ばごろから9月にかけ、産卵や子育てなど繁殖するため沖縄に飛来する「夏鳥」です。沖縄島周辺では20カ所以上の繁殖地があることが確認されており、県内各地で見られます。
無人の小島や海上の岩礁など集団で繁殖します。渡嘉敷村のナガンヌ島は、過去に約4千巣が記録されたことがある国内最大級の繁殖地ですが、近年その数は少なくなっています。
エリグロアジサシは目から頭の後ろにかけて黒い帯状の模様があります。一方、ベニアジサシは頭が黒いです。とても似ていますが模様が違います。
県のレッドデータブックでベニアジサシは絶滅危惧II類に分類されています。子育て中の巣に近づくと、親鳥が子育てをやめてしまうこともあるので近づかないよう注意しましょう。
(写真・監修 国指定屋我地島鳥獣保護区管理員 渡久地豊さん)
(2019年07月28日付 りゅうPON!掲載)
ベニアジサシ
分類:チドリ目カモメ科
学名:Sterna dougallii bangsi Montagu, 1813
方言名:スゥードゥイ:潮の鳥(名護市屋我地島)
特徴:くちばしの先から尾羽の先までの長さが約33センチ。体重は約100グラム。夏羽では頭は黒く、翼や背の表面は水色に灰色がかった「青灰色」です。胸がうっすらピンク色になっています。
オーストラリアなどから沖縄に飛来する5月ごろは、くちばしの色が黒色です。子育ての相手が決まり、産卵が始まる6月以降からオス・メス共にくちばしが赤色に変化します。子育てが終わる9月には黒色に戻ります。色が変わる理由についてはまだ分かっていません。