ナマコの仲間たち
ナマコ類は、ウニやヒトデの仲間(棘皮動物)で、沖縄の海には約50種類が暮らしています。サンゴ礁の浅い場所でよく見かけるのは、クロナマコ、ニセクロナマコ、シカクナマコ、オオイカリナマコ、ジャノメナマコなどです。
ナマコ類の生態的な特徴として、土壌の有機物(生き物の死がいや排せつ物など)を分解するミミズのような役割を担っていることが挙げられます。ナマコ類は、海底の砂や泥の中の有機物などを主食にし、一緒に食べた砂をウンチとして排出します。このウンチは、有機物が取り除かれているため、とてもきれいで、ナマコ類は「海底の掃除屋」としての役割も果たしています。(2019年09月22日付 りゅうPON!掲載)
また、ナマコ類の中には、海底の砂や泥の中に潜る種類も知られていますが、その際に砂や泥をかき混ぜるため、海底を良い状態に保つ働きがあると考えられています。ナマコ類が豊富にいる海域では、サンゴを死滅させたり、海底環境を悪化させたりすることもある「藍藻(シアノバクテリア)」の発生を抑えられるとの研究データもあります。ナマコ類は、食用として乱獲されるなどして数が減っており、そのため以前に比べて海が汚れたと話す漁師もいます。
ナマコ類は、水産上重要な動物で「海底の掃除屋」としても大切な存在です。海岸で見つけた時は、むやみに捕ったりせず、じっくり観察してみましょう。(監修・写真:沖縄県立芸術大学・准教授 藤田喜久さん)
<まめ知識>
海岸で誤ってナマコを踏んでしまったり、触ったりしたことはありませんか? その時にナマコが出す白い糸のようなものを「キュビエ氏管(器官)」と言います。敵から襲われた時に出して、襲ってきた他の動物の動きを封じる働きをしているのです。キュビエ氏管は一度、出してしまうと体から切り離されますが、また体内で再生されます。