本土とは違い、沖縄島では年中カエルを見ることができます。元々沖縄島にいるカエルは10種類。沖縄島だけで見られるのは、ナミエガエルとイシカワガエル、ハナサキガエルです。その中で、今の時季に繁殖期を迎えるのがナミエガエルとホルストガエルです。
ナミエガエルは1980年代までは名護市や本部町でも見られましたが、今では本島北部の一部の地域でしか確認できていません。開発によって木が切られたり、草が刈られたりしたため、生活環境が悪化したのが原因とみられています。
(2018年06月24日 りゅうPON!掲載)
(監修・写真 千木良芳範宜野湾市立博物館館長)
分類:無尾目ヌマガエル科
学名:Limnonectes namiyei(Stejneger,1901)
方言名:ワクビチ(国頭村・大宜味村)、ミジワクビチ(本部町伊豆味)
特徴:鳴き声は「グワッ、グワッ、グワグワグワ…」とだんだん早くなる、蒸気機関車のような低い声です。雄だけが鳴きます。体長の半分くらいは頭に見えるほど頭が大きいです。体は薄い茶色のものや黒っぽい茶色のものなどさまざまです。
砂や泥が混ざった湿っている土地で、浅く水がたまった場所に卵を産みます。1週間程度で孵化し、多くは約3カ月で子どものカエルになります。大人になるまでは水辺周辺で暮らします。
卵から成体へ 成長の様子
<まめ知識>
雄の頭には左右に大きなこぶがあります。大人になるにつれて雄だけに出てきます。こぶの部分が何なのか、何のためにあるのかはまだ分かっていません。
こぶの不思議以外にも、ナミエガエルの生態については分かっていないことが多くあります。そのため2017年11月から一匹一匹を区別してデータを集める調査が始まりました。うまくいけば、上陸した後の暮らしや寿命などが明らかになるかもしれません。