アイヌと沖縄戦 北海道出身・玉城さんが児童生徒に伝えたかったこと 糸満市


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南北之塔を背にして、子どもたちに差別と戦争について語るアイヌ民族の玉城美優亀さん=23日、糸満市真栄平

 アイヌ民族の玉城美優亀さん(63)=北海道出身、現糸満市在=は23日、糸満市真栄平の南北之塔を訪れ、フリースクールや自主夜間中学を運営する南城市のNPO法人珊瑚舎スコーレの児童生徒ら約50人と交流をした。アイヌ民族の差別を見聞きしてきた玉城さんは「沖縄もアイヌも差別や偏見を受けてきた。なぜ戦争が起こるかを考えると、差別と偏見が根底にはある。どうしたら平和になるかを考えてほしい」などと子どもたちに語り掛けた。

 真栄平周辺には沖縄戦当時、アイヌ民族を含む北海道の部隊がおり、戦後もアイヌ兵と一部の真栄平住民の間には交流があった。この縁もあり、多数の住民の遺骨が納められた南北之塔にはアイヌ民族の言葉で「キムンウタリ」(「山の仲間たち」の意)と刻まれた石碑が立つ。

 講話を聞いた子どもたちからは、「歴史と文化を奪われたアイヌと沖縄は似ている」「不利益をこうむった時に、いかに戦うのかとの発想にならないかが重要」「お互いが歩みよるのが大事」などと感想が上がった。

 玉城さんは、今は途絶えつつあるアイヌ民族と真栄平区との交流が復活することを願う。交流会に参加した真栄平区の玉城廣一区長は「アイヌとの交流を再開したい。今回の交流がその一歩となれば」と語った。
 (梅田正覚)