米シンクタンクの外交問題評議会(CFR)は25日までに、台湾有事で米軍が効果的に戦うには在沖米軍基地を円滑に使うことが必須とする報告書を発表した。戦闘機が再給油なしに台湾で作戦行動を取れるとして在沖米軍基地が台湾有事の出撃拠点になることを重視する内容。戦争になれば各国で多大な死傷者が出ると言及したが、有事の拠点となることで沖縄が負うリスクについては説明していない。
報告書は「新時代の米台関係―より強硬になる中国への対応」と題して、米軍制服組トップの統合参謀本部議長を務めたマイク・マレン氏らがまとめた。台湾有事の際、在日米軍基地からの活動展開が重要とし、特に在沖基地の円滑使用の重要性を指摘した。米軍が弾薬、物資の備蓄拠点として南西諸島を活用することや日本の民間空港などを利用した演習も推奨している。
1月には別の米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)が台湾有事を想定した机上演習の報告書を公表。米国やその同盟国が多大な犠牲を払うとの指摘に加えて、沖縄県内の基地や日本国内の民間空港を使う重要性を論じていた。台湾有事に在沖米軍基地や民間空港の使用を重視する見方が米国内で広がっていることがうかがえる。
CFRの報告書は、台湾周辺で再給油なしに戦闘機の作戦行動を取れる2飛行場はいずれも沖縄にあり、そのうちの一つが「インド太平洋における米国最大の基地」である嘉手納基地だとした。もう一つの施設名は明示されていないが、普天間飛行場とみられる。
報告書は日本国内に約5万4千人の米軍人が駐留しており「台湾防衛にとって最も重要な要素だ」と記載している。
台湾で危機が生じた際、円滑に事前協議に入れるよう、日米両政府が定期的に意見交換して下準備をしておくべきとも記述した。日米が台湾軍の演習参加を水面下で模索するべきだとも主張している。
(明真南斗)