鉄やサンゴで「地球の涙」 シュワブゲート前に作品 防衛局は撤去求める 作者「許されない現実を表現」 沖縄・名護市辺野古


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キャンプ・シュワブゲート前付近に設置されたオブジェクト=26日、名護市辺野古

 【辺野古問題取材班】沖縄市の泡瀬干潟を一望できる博物館カフェとしてかつて営業していた、ウミエラ館の元館長の屋良朝敏さん(73)が25日、名護市辺野古のキャンプ・シュワブゲート前付近に自身が制作した芸術作品を設置した。屋良さんによると、辺野古新基地建設への反対などを示すため、空いていた場所に設置したという。一方で米側から設置について連絡を受けた沖縄防衛局は「当該場所は提供施設・区域内で、米側の許可なく工作物を設置することは認められていない」とコメントした。

 屋良さんによると、設置されたのは地球の姿を涙に見立てた「地球の涙」という作品で、鉄やサンゴ、ガラスなど複数の素材でできており、県内の美術工芸展に出展したこともあるという。屋良さんはほかにも海やジュゴンに関する作品を制作しており「不当な埋め立てを沖縄に押しつけている。許されない現実を表現した」と訴えた。

 防衛局は今後の対応について「今後設置者が提供施設内から工作物を撤去するとの情報を得ている」とした。現場では26日午後、防衛局の職員らが提供施設・区域の境界を明示するため、スプレーで線を引く様子などが見られた。屋良さんは設置について「基地ではないと思った」と語った。防衛局や米軍警察の撤去要請については「米軍敷地内を示す納得できる根拠があれば、自分の判断で撤去に応じる」とした。
 (武井悠)