りゅうぎん総合研究所(豊田良二社長)は26日、県の自転車活用実態調査の結果を発表した。サイクルツーリズムを観光コンテンツの一つと位置づけ、調査結果などを基に、サイクリスト(自転車に乗る人)の利用実態や消費額を独自に分析し誘客効果を推計した。
豊田社長は、年間を通して温暖な沖縄の気候と全国的なサイクリング観光需要の拡大を挙げ「沖縄観光の積年の課題である閑散期対策に、サイクルツーリズムが大きな役割を果たす」と期待を示している。
アンケートは2022年9月上旬~23年2月28日にかけて集められ、125人のサイクリストが回答した。自転車を主要な移動手段として沖縄を周遊した経験がある人は約半数で、宿泊数は3泊が最多だった。時期は、最も全体の入域観光客数が多い8月を指数100とすると、1~4月、11、12月で200以上となった。その他の時期でも100を上回った。
一方で、沖縄以外の地域でサイクリングした時期は5月が最多で、1、2、12月は50前後と低かった。冬季は路面の凍結などにより適した地域が極端に減少することが主な理由。同研究所の及川洋平研究員は「これまでサイクルツーリズムに特化したデータが少なかった。調査によって、サイクリストと一般的な観光客との来沖時期の違いや滞在日数を比較することで、ニーズや課題を明らかにできた」と述べた。
サイクルツーリズムは全国的に注目されており、19年に魅力や安全性などの要件を満たすルートを対象とした国指定のナショナルサイクルルート制度が導入された。22年3月に策定された沖縄県自転車活用推進計画では、25年までの制度認定を目標にしている。
同研究所は、すでに指定されている茨城県や滋賀県などのデータと独自の調査結果から、サイクリストが10万人来沖した場合の誘客効果が103億2400万円になると試算。推進協議会の設置や各地域との連携強化、継続的な調査の実施などを課題に挙げている。豊田社長は「閑散期の誘客や観光収入の増加だけでなく、二酸化炭素を排出せず環境への負荷も少ないサイクルツーリズムは沖縄の新たな観光コンテンツとして有益だ」と強調した。
(普天間伊織)