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【記者解説】高校生失明事件 警察官を起訴 書類送検から半年、時間を要した理由


この記事を書いた人 Avatar photo 金良 孝矢
那覇地検、沖縄気象台などが入る那覇第一地方合同庁舎=那覇市樋川.jpg

 巡査がバイクで走行中の男性と接触して重傷を負わせた事件で、沖縄県警が巡査の行為が故意に当たるとして、特別公務員暴行陵虐致傷容疑で書類送検したものの、公判を見据える地検は「極めて故意に近い過失」(関係者)とみて、業務上過失傷害罪に切り替えた。

 県警の捜査と同じように、地検の事実の特定も難航した。現場は薄暗い路地で発生時間は未明。周囲に防犯カメラも目撃者もなく、2人の供述を基に客観証拠を積み上げるなどし、書類送検から約半年の時間を要した。地検は巡査が漫然と警棒を男性の前に差し出した行為が、特別公務員暴行陵虐致傷罪で要件となる故意による暴行ではなく、職務上の注意義務に違反することに重きを置いた。

 巡査は、事件発生当初の調べで「故意にけがを負わせるつもりはなかった」と供述していた。一方、男性は「警棒で殴られた」と巡査の故意性を指摘し、事実認識に食い違いがある。現時点での巡査の認否は明らかになっていない。

 事件をきっかけに、県警に不満を持った数百人の若者が沖縄署を襲撃する事態に発展した。当時、現場で実際にどういうことが起きたのか、事実の認定は今後、裁判所の判断にかかる。

(金良孝矢)