沖縄「笑味の店」店主がつづる「おばぁたちの台所」 長寿の里・大宜味の19人の食卓を取材 沖縄  


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大宜味の食と暮らしを伝える待望の本を出版した「笑味の店」店主の金城笑子さん=6月21日、大宜味村大兼久の「笑味の店」

 【大宜味】長寿の里として知られる大宜味村で「笑味の店」を営む金城笑子さんが、「おばぁたちの台所~やんばるでつないできた食と暮らしと言葉の記録」(グラフィック社)を6月上旬に出版した。集落で暮らすおじい、おばあたちの暮らしと「ごはん」から教わった、大宜味村の豊かな食文化の記録を伝える内容となっている。

 前半では著者が15年以上にわたり一軒一軒訪ね取材した19人の食卓を収録。やんばる・大宜味の生活が写真と共に鮮やかに浮かび上がる。後半では島野菜や、目の前の豊かな海で取れる魚介などの伝統食材の料理の「物語」を紹介している。40歳で学校給食センターの栄養士を退職し、大宜味村の食文化を後世に伝えるために、地元で採れた野菜をメインに「長寿食」を提供する「笑味の店」を開店した。本書には手記も掲載している。 

 出版にあたり、金城さんは「自然と共に生きてきたお年寄りの知恵は大きな財産。大宜味村のおばあ、おじいたちの手から紡ぎ出す自然の理にかなった豊かな食卓から、足元の宝物を見つけることができ、感謝を込めて出版させていただいた」と笑顔で話した。「価値を見つけ分け合い、それを生かしていけたら自然は私たちに宝物を贈り続けてくれると思う。この本が皆さんの足元にある宝物を見つけるヒントになれば幸いです」と結んだ。

「おばぁたちの台所~やんばるでつないできた食と暮らしと言葉の記録」

 本はAmazon(アマゾン)や楽天ブックス、全国の書店でも販売されている。定価1980円(税込)。

 (安里郁江通信員)