陣地構築を想定した訓練、15旅団は2014年から実施 機器や爆破で琉球石灰岩の掘削方法を検証 防衛大綱に基づき有事を想定か


この記事を書いた人 琉球新報社
那覇駐屯地創立50周年記念行事で、離島に上陸した武装勢力を掃討する想定の模擬訓練を実施した陸上自衛隊第15旅団=2022年11月6日、那覇駐屯地

 陸上自衛隊が南西諸島の有事に備え、陣地構築などを想定して琉球石灰岩の掘削方法を検証している件で、那覇に拠点を置く第15旅団の第15施設隊が2014年以降、琉球石灰岩を掘削する訓練を実施していることが3日、分かった。第15旅団広報が琉球新報の取材に回答した。訓練の背景には、対中国を念頭に「南西地域の防衛体制の強化」を打ち出し、2013年(平成25年)末に閣議決定した防衛大綱(25大綱)の存在があるとみられる。

 第15旅団広報は取材に、第15施設隊は「2014年以降、施設科部隊としてさまざまな土質を活用する必要があるため、その特性について把握することを目的として、施設器材や爆破薬などで琉球石灰岩を掘削する訓練を実施している」と説明した。

 25大綱では、従来は各配備地の防衛に重点を置いていた自衛隊の部隊運用について、有事には他地域に迅速に展開できるようにする「統合機動防衛力」の実現を明記した。

 先に琉球石灰岩を使った訓練実施が判明した福岡県を拠点とする陸自第5施設団は、那覇に拠点を置く第15旅団と同様、陸自西部方面隊の指揮下にある。第15旅団広報は「両部隊が連携することは一般的なこと」として、第5施設団が担任する訓練に第15施設隊が参加し「同じ施設科部隊として情報共有を行っている」と説明した。有事における南西諸島での連携を深めることが目的とみられる。

 第5施設団下の第2施設群は今年3月、大分県の日出生台演習場に琉球石灰岩を持ち込み、砲弾を使って爆破する検証を実施している。
 (座波幸代、知念征尚)