南斎場(豊見城)が2火葬炉増設へ 高齢化、コロナ禍で逼迫 年度内にも着工 「今後20年は受け入れ増を予測」


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火葬炉の状況について説明する南斎場の濱里和宣所長。後方には炉の増設スペースがある=6月30日、豊見城市豊見城の南斎場

 【南部】南部広域市町村圏事務組合(理事長・知念覚那覇市長)が運営し、糸満、南城、豊見城、南風原、与那原、八重瀬の3市3町が出資する火葬場の南斎場(豊見城市)が、火葬炉を2炉増設する方向で調整している。南斎場の火葬炉は現在6炉あるが、高齢化に加えて新型コロナウイルスの流行で火葬までに最長11日間待機するなど逼迫(ひっぱく)状況が続いていた。南城市議会が昨年12月、南風原、八重瀬の両町議会が6月定例会で増炉を求める意見書を採択している。

 2炉増設の費用は総額1億8738万円を予定。建設費用は、6市町が運用実績に応じて負担する。6月末までに、3市3町の副首長でつくる「南斎場建設委員会」が建設計画を確認し、各市町の部長級職員による「管理運営委員会」が了承した。10月に組合理事会の承認を得て、議会に予算案を提案。早ければ年度内にも着工する。完成に早くとも1年かかる見通し。

 南斎場は2014年6月に供用開始した。高齢化で稼働率が高まる中、新型コロナが拍車をかけた。22年度の稼働は、メーカー推奨を1・4倍ほど上回った。高熱による炉の劣化が激しく、14年からこれまでに2億211万円の修繕費がかかっている。ことし4月から火葬料を値上げした。特に火葬依頼が増えている同組合の構成市町村以外の地域は、値上げ幅を大きくした。

 コロナ禍のピーク時に比べ、現在は落ち着いているが、南斎場の濱里和宣所長は「緊急時に備えるためにも増炉は必要。人口統計からもあと20年は受け入れ数の増加が予測される」と説明する。

 増炉により、1炉の稼働数を減らすことで、消耗を抑えて延命を図ることができる。濱里所長は「修繕費用を抑え、かつ耐用年数15年の炉を少なくとも10年は伸ばすことができる」と話した。同火葬場は当初、8炉造る計画だったが6炉に抑えた経緯があり、2炉増設できるスペースがある。
 (岩崎みどり)