流れに逆らえず沖へ 本紙記者が「離岸流」の恐ろしさを体験 ライフジャケットなど装備が重要


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リーフカレントを体験し、海上保安庁の職員と岸に向かう西田悠記者(中央)=4日、糸満市の大度海岸(小川昌宏撮影)

 離岸流の影響と思われる県内の事故者が年々増える中、第11管区海上保安本部がこのほど、糸満市大度海岸で報道関係者を対象に実施した「離岸流・スノーケリング体験会」に本紙記者が参加した。海岸や砂浜から沖に向かって発生する離岸流のうち、サンゴ礁の礁池にたまった海水が外礁(リーフ)の切れ目や水路から流れ出す「リーフカレント」を体験。じわじわと流れに引き込まれ、自然の恐ろしさを感じた。

 4日午前10時過ぎ、大度海岸は、一時突発的な激しい雨が降り、不安定な天候だった。この日は潮の干満の差が最も大きくなる大潮で、強い離岸流が発生しやすい条件がそろっていた。

 リーフカレントの発生したリーフギャップ(サンゴ礁の切れ目)は、美しい熱帯魚が泳ぐサンゴ礁池から沖へ少し進んだところにあった。周囲からはそれほど強い流れには見えなかったが、一度流れに乗ると身体の自由がなくなり、逆らって泳いでも到底上流には戻れなかった。シュノーケリングなどに夢中になり、つい流れにのまれてしまう事態も想像に難くない。

 離岸流に関連する県内の事故者は過去5年間に57人確認され、昨年から増加傾向にある。 

 体験会終了後、第11管区海上保安本部の島袋光和課長は、マスク、シュノーケル、フィン、ライフジャケットの装備徹底を呼びかけ、「ジャケットを着用していると助かることもある。体力を消耗しないよう焦らず流れに身を任せ、流れが止まるところで救助を待つように」と対処法を語った。

 県内の今年のマリンレジャー中の事故者数は6月末時点で41人と、昨年1年間の27人を大きく上回っており、特に50代以上の事故者の多さも顕著だ。マリンレジャー中の人身事故は8月から9月に多発する傾向があり、強い警戒が求められる。
 (西田悠)