沖縄の食=豚だが…47年ぶり県内20万頭を割る 一度に多く産む「高能力種豚」導入へ


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 農林水産省が7日発表した畜産統計で、2023年2月時点の沖縄県内の豚の飼養頭数は前年比7.5%減の19万5900頭となり、47年ぶりに20万頭を割り込んだ。飼養戸数は同11%減の195戸と初めて200戸を下回った。えさ代の高騰が農家の経営を直撃し、離農したり、コスト削減で頭数を減らしたりせざるを得ない状況が減少に拍車をかけている。

 統計資料がある1973年以降、飼養頭数が20万頭に満たなかったのは同年(17万7千頭)と76年(19万6千頭)のみで、今回が3度目。過去2回がピークの89年(33万8200頭)へと生産拡大に向かう局面にあったことを踏まえれば、意味合いは異なる。

 戸数の減少は統計開始時から続く傾向だが、近年は高齢化に加え2021年ごろから原料を輸入に頼るえさ代が高騰し、離農に拍車をかける形になった。22年には配合飼料の高騰分の一部を負担する国や県の支援策もあったものの、補助額確定までの間に運転資金が確保できない事例も発生し、離農や頭数を減らす農家が相次いだ。

 県の担当者は「離農者が出ると規模の大きい農家が豚を引き取り出荷数は維持されてきたが、今はどこも吸収できる余力がない」と説明する。

 子を産む母豚の減少も頭数の落ち込みにつながっている。農水省の畜産統計で母豚は19年に2万頭を割り、21年が1万8400頭、23年は1万7500頭だった。県養豚振興協議会の金城栄会長は「母豚自体の生産量が減った影響は今後も出てくる」と危機感を募らせる。

 生産拡大につなげようと、県は本年度、一度に多くの頭数を産むことができる「高能力種豚」の導入事業に取り組む。本土に比べ県内の豚は生産性が低いといい、金城会長は「費用対効果も見極めながら、早期に生産頭数を増やしていきたい」と強調した。

(當山幸都)