米海兵隊が運用する輸送機MV22オスプレイの飛行訓練を巡り、沖縄県を除く山岳地帯を対象にした高度制限の緩和が10日、適用された。従来500フィート(約150メートル)以上としてきた制限高度を引き下げ、200フィート(約60メートル)での飛行訓練が可能になる。住宅地上空は対象としない。日米両政府は具体的な訓練地域を公表しておらず、十分な説明がないまま緩和が進んでいる。
低空飛行訓練の緩和は米海兵隊の輸送機MV22オスプレイのみとした。空軍機CV22オスプレイは対象にならない。
米側は低空飛行の技量を維持するため200フィートでの訓練を義務付け、これまで日本国外で実施してきたと防衛省に説明し「日本の防衛支援などさまざまな事態に対応するため、実践的な訓練が必要だ」と高度制限の緩和を求めたという。
訓練地域について、米側は日本側に示しているが、防衛省は「米軍の運用に関するので公表できない」としている。緩和に合意した外交、防衛担当者による協議機関、日米合同委員会では、安全対策として(1)送電線を回避できる十分な距離を保つ(2)病院や発電所の上空で実施しない―などと申し合わせた。
2012年に策定した安全確保策は、原則として500フィート以上で飛行するとしている。日米は22年、住宅地上空を避け、9~10月に限り、高度300フィート(約90メートル)以上の訓練実施に合意した経緯がある。
(共同通信)