日銀は10日、7月の地域経済報告(さくらリポート)を公表し、全国9地域のうち東海、中国、九州・沖縄の3地域の景気判断を引き上げた。新型コロナウイルス感染症の5類移行で経済の正常化が一段と進んだことや、半導体不足の緩和で自動車生産が回復したことを反映した。ただ、海外経済の減速に対する懸念などもあり、残り6地域は据え置いた。
各地の景気判断は、10日の日銀支店長会議で報告された。九州・沖縄はインバウンド(訪日客)の増加や自動車生産の回復を受け、前回4月の「持ち直している」から「緩やかに回復している」に判断を引き上げた。日銀の担当者は、新型コロナ感染拡大前の2020年1月以来となる表現の強さだと説明した。
残り8地域は「持ち直している」か「緩やかに持ち直している」と判断した。
項目別では、東北と関東甲信越、中国、四国、九州・沖縄の5地域で個人消費の判断を引き上げた。
企業からは「旅行需要の回復で売り上げはコロナ禍前を上回っている」(新潟支店管内の宿泊業)との声があった。
残り4地域は据え置いた。食料品などの値上げが相次ぎ、消費者の節約志向が高まっていると指摘する企業もあった。