「働き方」はリーダーから改革 就業規則の変更で多様な人材登用を可能に 県ホテル協会が育成講座


この記事を書いた人 琉球新報社
ホテル業界の多様な働き方導入の推進リーダーの育成を呼びかける県ホテル協会の平良朝敬会長(中央)ら=11日、那覇市の沖縄かりゆしリゾートEXES那覇

 ホテル業界の深刻な人材不足を解消しようと、県ホテル協会(平良朝敬会長)は12日から、次期総支配人(GM)クラスの経営者向けの育成講座の募集を開始する。在宅勤務や副業を推進できる職場環境や、ひとり親や外国人などを積極的に採用できる体制を整えられるリーダーを育成する。

 ホテル業界の「多様な働き方導入の推進リーダー」の育成事業。2023年度の沖縄型産業中核人材育成事業を県ホテル協会が受託し、実施する。同事業はこれまでもあったが、22年までは現場人材の育成を中心に働き方改革などを進めてきた。

 だが、社の規定などから働き方改革が認められない事例があったことなどから、今回、社の制度や規則の変更に影響力のあるリーダーを対象にした講座の実施を決めた。

 ホテルでは、フロントや調理、客室清掃など、現場で多くの人手が必要だが、一方で経理や案内文作成、施設管理、労務管理、業績評価、口コミの分析・返信など、在宅でできる業務も多い。

 在宅勤務は社外への情報流出や、業務内容の管理が行き届かないなどの懸念がある。情報が漏れた場合の取り決めを従業員個人と結んだり、在宅勤務中のコンピューター画面を遠隔で監視し、業務の可視化を図ったりするなど対策についても議論する。

 また、他業種で勤務する人もホテルでの業務が両立ができるよう、副業可能な環境づくりを推奨する。土日などの繁忙時のみの出勤や社内の他部署の応援、外国人人材の採用も積極的に進めるリーダーを育成する。

 講座は8月~24年1月で、講師を招いての6回の座学などを経て、参加者自身が、所属先のホテルでの働き方改革について推進計画を発表する。

 11日に会見した県ホテル協会の平良会長は「新しい働き方改革を目指す。就業規則のハードルを乗り越えられる人材を募集している」と応募を呼びかけた。

 募集人数は25~30人。GM候補者などが対象で、1施設1人まで。上司からの推薦状が必要。締め切りは31日。
 (與那覇智早)