〈ドクターのゆんたくひんたく〉151 溶連菌感染症 のどに炎症、発熱、発疹も


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溶連菌とはA群溶血性連鎖球菌という菌を省略した呼び方で、主にのどに炎症を起こします。溶連菌感染症は5歳以上の子どもがかかりやすく、3歳未満の子どもがかかることはまれです。大人でもかかることがあります。唾液などの飛沫(ひまつ)によって感染し、潜伏期間は2~5日です。主に冬に流行するとされていますが、どの季節でもみられる感染症です。

溶連菌感染症の主な症状は発熱やのどの強い痛み、発疹などです。おなかや背中、手足などに赤く細かい発疹が広がります。「イチゴ舌」といって、舌がイチゴのように赤くブツブツすることがあります。その他嘔吐(おうと)などの症状もみられます。咳はみられないことが特徴なので、咳が多い時は他の病気を疑う必要があります。症状が落ち着いた後に、指の先の皮がむけることがあります。

典型的な症状がそろえば診断がつきやすいですが、診断には主に迅速抗原キットを用いた検査が行われます。のどの奥を綿棒でこすって検査を行います。

とても便利で有用な検査ですが、注意が必要な点があります。健康な子どもの5~20%に溶連菌の保菌者(何も症状を起こさずに菌が存在している状態)がいるため、むやみに検査を行うと溶連菌の感染による症状ではないのに溶連菌感染症と誤って診断してしまう可能性があります。

治療は抗生剤の内服を行います。アモキシシリンという抗生剤を10日間内服することが推奨されています。処方された分は最後まで飲みきることが大切です。溶連菌は抗生剤がよく効く菌なので、治療を始めると翌日くらいまでには症状がよくなってきます。学校や保育園には、治療を開始した翌々日から行くようにしましょう。

合併症として、まれですが、溶連菌感染の後に腎臓に炎症を起こすことがあります。かかった後の1カ月くらいの間に、血尿が出る、顔や足がむくんでいる、といった症状がみられる場合には受診が必要です。

(木川和英、ちばなクリニック 小児科)