沖縄公庫が初のファンド出資、5億円 OISTなどが設立 「ディープテック」創出を支援


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ファンド出資について発表した(左から)ライフタイムベンチャーズの木村亮介代表パートナー、OISTのギル・グラノットマイヤー首席副学長、沖縄振興開発金融公庫の前村司融資第一部長=12日、恩納村のOIST

 沖縄振興開発金融公庫は12日、沖縄科学技術大学院大学(OIST)と投資会社「ライフタイムベンチャーズ」(横浜市)が連携し設立したベンチャーキャピタルファンドに、5億円を出資したと発表した。

 公庫によるファンド出資は初。スタートアップの資金調達を支援し、OISTなどが掲げる産官学の組織間の協働・競争による「イノベーション・エコシステム」構築や、県内の民間資本のファンド参加の呼び水にしたい考え。

 OISTとライフタイム社は2022年5月、総額50億円規模のファンド組成を進めると表明。同年、起業前のシード期のスタートアップを支援する総額20億円規模のファンドを立ち上げた。これまで県内外14社に投資している。

 公庫が今回出資したのは、シード期に続く起業直後のアーリー期を迎えたスタートアップへの追加出資を目的とするファンド。ことし6月に設立され、公庫のほか日本政策投資銀行も出資している。ライフタイム社の木村亮介代表によると今後も出資企業を募り30億円規模のファンドになる見込み。社会課題の解決にインパクトを与える「ディープテック(最先端の技術)」を生み出す企業支援につなげる。

 公庫はこれまで個別のスタートアップへの出資を通して支援してきた。初のファンド出資について、前村司融資第一部長は「ファンドを活用することで強力に支援の幅は広がる。県内企業の成長に貢献できるなら今後も検討したい」と説明した。

 出資を受けた木村代表は「世界中の課題解決に資するスタートアップをつくり、沖縄を起点としたエコシステム構築に寄与していきたい」と語った。
 (當山幸都)