【北部】沖縄本島北部で、密漁行為をしたとして海上保安庁が漁業法違反や県漁業調整規則違反などで摘発する件数が、例年を上回るペースで推移している。漁業関係者によると、イセエビなどをSNS上で売る営利目的のグループや「密漁取り締まりマップ」をネット上で共有する外国人グループも存在。北部地区の漁協や海上保安庁は15日からパトロールを強化して対応する方針だ。
名護海上保安署によると、恩納村万座毛以北の西海岸で、2022年の摘発は1年間で13件だったのに対し、23年は7月14日現在で10件に上る。
名護海上保安署によると、取り締まりで確認された魚介類はタコ類、シャコガイ、マガキガイ、サザエ、イセエビ、ヤコウガイなど多岐にわたる。中城海上保安部が管轄する本島東海岸側のうち、金武町以北では、今年に入って摘発はない。ただ、昨年は5件を摘発し、近年は増加傾向にあるという。昨年7月には東村沖合で、水中銃を使って漁をしたとして、米海兵隊員が外国人漁業規制法違反と県漁業調整規則違反で摘発された。
漁協関係者によると、この海兵隊員は、非公開のフェイスブックグループ「Spearfishinga.bOkinawa(スピアフィッシングオキナワ)」上のマップで、海上保安庁や漁協などの取り締まり状況を共有していたという。そのほか、動画配信サイト上でも魚やイセエビを捕獲する様子を頻繁にアップしていた。軍関係者の中には、日本では使用できない水中銃を米国から持ち込んでいる者もいるという。
別の日本人のグループは、北部地域でイセエビなどを取り、SNS上で販売していた。居酒屋などにも直接卸していたとみられ、営利目的で密漁を繰り返していた。国頭漁協などは、手づかみやはさみで取り、卵を持ったエビは逃がすなどして、資源に配慮している。一方で、密漁者は産卵期のイセエビを卵の有無に関係なく、水中銃などで刺し、取っているケースもみられるという。
北部地域の漁協関係者は「漁業関係者らが意識的に密漁者を見つけたら通報する取り組みを続けているが、対応が追いついていない。漁獲量にも影響が出ている」と指摘した。海保や漁協は監視を続け、取り締まりを一層強化する方針だ。
(池田哲平)