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ブルーカーボン創出と産業ツーリズム! 阿波根昌樹・HPC沖縄代表取締役 <仕事の余白>


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 脱炭素社会において重要な役割を果たすネガティブエミッション(CO2を吸収・貯留する技術)。その一つにブルーカーボンがある。海洋生物の働きによって海洋環境に吸収・貯留されている炭素のことである。

 実は海藻類は陸上植物に比べて炭素固定能力が高い。つまり、沖縄沿岸にあるブルーカーボン生態系の最大化は、脱炭素と豊かな海を繋(つな)ぎ、観光産業の持続的な繁栄という未来が期待できる。

 先ごろ、「沖縄のブルーカーボン・ダイナミクスを可視化せよ!」というテーマのAIコンペが開催された。沖縄沿岸の水深や水温など環境条件のデータを基に、AIによる海草藻場の被度予測を競うコンペだ。

 ブルーカーボンの可視化技術の発展と沖縄観光のポテンシャル拡大に寄与する初のイベントだと感じた。実際に那覇ではブルーカーボン可視化を観光ツールとした「ブルーカーボン・クルーズ」が運航している。

 再生可能エネルギー由来のクレジット(CO2を削減したという価値)より、海洋生物由来のブルーカーボンクレジットの方が高い評価が得られる。浦添西海岸などの港湾・護岸整備事業に低炭素コンクリートとブルーカーボン創出を組み合わせたコンクリート構造物の製作に織物形状HPC残置型枠を提案したい。海草、海藻の藻場生成によるマリンフォレスト(海の森)、群がる魚たちの楽園をイメージしながら、沖縄のブルーカーボン創出が、世界に誇れる産業ツーリズムとして進化することに期待したい。