かつて男児は「黒」、女児は「赤」だったランドセル。近年、色やデザインの多様化や高品質化によって販売価格は5万~7万円程度と上昇傾向にある。県内では経済状況が厳しい世帯などへの購入支援があるほか、リユース(再利用)品の販売で家計を支援する団体も出てきた。全国的にはランドセルのサブスクリプション(定額制サービス)や、自治体による無償提供の事例も。家計を圧迫しかねない「ランドセル」を取り巻く状況にも変化が出てきている。
「就学援助制度」は、生活保護を受けているなど経済状況が厳しい家庭がランドセルなど学用品を購入する際に利用できる制度。「経済的理由によって、就学困難と認められる児童生徒の保護者に対して市町村は必要な援助を与えなければならない」と規定する学校教育法に基づく支援で、各市町村が単独で実施している。
ただ、市町村によって支給方法は異なり、入学前に5万4060円の全額支給(那覇市)のような自治体がある一方、入学後に4万600円の実費支給という自治体もあり、対応に差がある。
また、ひとり親世帯は県母子寡婦福祉連合会を通して無償提供を受けることができる。沖縄電力関連産業労働組合総連合が例年70~100個を寄付しており、各市町村の母子会を通して毎年12月、希望者に配布している。
民間でも支援の動きが出ている。リサイクルショップ「オキハンズ オキハーツ」(嘉手納町)は、寄付されたランドセルをリユース品として500~1500円で販売している。主に数年で転勤する米軍関係者の家族が利用しているが、県民の購入者も年々増えているという。
ランドセルの製造・販売業者「コクホー」(大阪市)は今年から、ランドセルのサブスクリプションを始めた。月額990~3850円の利用料に応じて約50~250種類から選べる。3年間、同じ物を使い続けると無料でもらえる。
ランドセルではない、通学用リュックの無償提供の動きも出ている。富山県立山町は子育て支援として、本年度から町立小学校に通う1年生がいる家庭に、アウトドアメーカー「モンベル」が製作した通学用リュックサックの無償提供を開始した。 (梅田正覚)