【北大東】北大東村への移動式警戒管制レーダー配備を進めている防衛省が初めて住民向けに開いた説明会。初めて聞く基地配備の計画内容に、多くの住民が戸惑いを見せ「今後も説明会を開いてほしい」「意見交換できる場がほしい」という要望が相次いだ。2021年12月に村議会が自衛隊誘致の意見書を可決してから約1年半。住民を置き去りにして急ピッチで計画が進むことに憤りを示す人もおり、防衛省に謝罪を求める場面もあった。
22年8月に始まった現地調査以降、住民への説明はなかった。参加者の一人は「候補地も説明会も報道で初めて知る。逆ではないか」と不満をぶつけた。別の参加者は「まず村が村民に説明し村民を納得させるべきではないか。村民みんなが納得しているわけではない」と村の姿勢をただした。
施設整備による周辺環境への影響を懸念する声も上がった。沿岸の保安林を伐採し防潮柵を設置するという説明に対し、候補地周辺でサトウキビ栽培を行う男性は「何十年もかけて防風林をつくってきた。塩害対策はそんな単純ではない。周辺の畑が駄目になる。それが解決しなければ反対だ」と話し、塩害対策を示すよう求めた。観光業に携わる男性は「(候補地のある)島の北側は希少生物が手つかずで残っている地域だ。観光への影響をどう考えているか」と疑問を投げかけた。
一方、別の参加者は「自衛隊が配備されることで標的にされるのではないかと脅威を感じるという意見がある」と話した。与那国島で地対空誘導弾(ミサイル)部隊の配備計画が進むことに触れ、将来的にミサイルなどが配備されることを心配する意見もあった。これに対し防衛省は「現時点では移動式警戒管制レーダー配備以外の配備の検討はない」と答えた。
説明会は当初の予定より30分早く終わった。終了後、30代の男性は十分消化できなかった様子。「初めて聞くことばかりでよく分からなかった。とにかく周辺のサトウキビ畑への塩害をしっかり防がないといけない」と話した。(岩崎みどり)