「台湾有事」の回避は日本全体の問題 玉城知事と有識者会議が緊張緩和に向けて意見交換


この記事を書いた人 琉球新報社
第3回米軍基地問題に関するアドバイザリーボード会議であいさつする玉城デニー知事(右)=21日、県庁

 県は21日、米軍基地問題に関わる外交や安全保障の最新動向などについて有識者から意見を聞く「第3回米軍基地問題に関するアドバイザリーボード会議」を開催した。県は安保関連3文書の改訂に伴う自衛隊の配備、運用についての要請や辺野古新基地建設問題、地域外交に関することを報告し、玉城デニー知事と委員がアジア太平洋地域における緊張緩和と信頼醸成を図るための沖縄の役割などについて意見交換した。

 玉城知事は「県独自の地域外交などの取り組みを通し、緊張緩和と信頼醸成に向けた機運を高めることでアジア太平洋地域の平和と安定に沖縄県も寄与したい」とあいさつした。

 会議は冒頭を除いて非公開で行われた。県によると、非公開部分では委員から、米軍がフィリピンやパラオに展開し、オーストラリアで訓練するなど分散化の動きがあるとして「沖縄の基地負担軽減につながるのではないか」との意見が出た。

 台湾有事について、「米軍が在日米軍基地から出撃するには日本と事前協議をする必要があり、それは政治的な判断となる。台湾有事を引き起こさないための対話を続けるべきだ」との指摘があった。

 有事の際は、沖縄の基地だけが攻撃目標になるのではなく、全国の基地も攻撃されると考えられるとして「それを避けるためには日本全体で考えなければならない」との声もあった。

 県に対して、国民保護に関して全国知事会への働き掛けなど問題点を洗い出すことなどの提案があった。

 議事概要は後日、県のホームページに掲載する予定。
 (沖田有吾)