【石垣】「新聞記者かカメラマンになりたいな」。そう夢を描く石垣市の竹西夢貴(ゆめたか)さん(12)が夢に向けてペンを握り、シャッターを切り続けている。放課後に通う市障がい児通所支援事業所ひまわりの先生や仲間たちを取材し、このほど「ひまわり新聞」を発行した。企画、取材、レイアウトの全てをこなす“編集長”の夢貴さんは、自身の記事が読まれる喜びを原動力に自分のペースで夢に向かっている。
新聞製作のきっかけは、ひまわりに児童指導員として務める仲里和樹さん(30)のひと言だった。5月5日の本紙に夢貴さんの記事が掲載されると「新聞、作ってみたら?」と声をかけた。生まれつき骨が折れやすい骨形成不全症のある体で生まれた夢貴さんは2~3歳ごろからひまわりに通い始めた。仲里さんとは5歳の頃から7年の付き合い。「和樹先生」の言葉が夢貴さんの背中を押した。
5月17日、ノートとペンを手にひまわりの友達2人を取材した。バスケットボールが得意な前泊伶丞(りょうすけ)さん(11)と、名前は「あお」だけど真っ赤なリュックサックがトレードマークの下地麻心(あお)さん(12)だ。夢貴さんは2人と出会って約8年。良いところも悪いところも口ぐせも何でも知っている。2人に質問した。
「あおちゃんGW何かおいしいの食べた?」
「お野菜食べたよ」
「将来の夢は?」
「書き書きがんばる」
「りょうすけ、スラムダンクの映画、どこが面白かった?」
「ダンクシュート」
「大人になったら何になりたい?」
「バスケ、野球、サッカーの選手」
おちゃらけながら自由奔放に回答をする2人に夢貴さんは「予想通り」とたじろがず、懸命にノートをとった。写真は伶丞さんがバスケットボールを持ってシュートを打つ姿を収めた。会心の一枚だった。
先生たちも取材し、4コマ漫画も自作した。6月5日に「ひまわり新聞」第1号となる6月号を発行した。題字には青空の下に咲き誇る黄色のひまわりを配置。A4サイズで、丹精込めて製作した新聞をひまわりの先生や保護者に配布した。
7月18日にはB4サイズに紙幅を大きくし、第2号の7月号を発行した。「みんなの好きなゲームランキング」を円グラフを活用して見やすく記載し、新任の先生の紹介なども盛り込んだ。
紙面に入るようにコメントを削ることや、撮影の仕方などまだまだ難しさはある。それでも「自分的には満足」と編集長として自信を持って発行している。今後も来年3月まで月に1回発行予定だ。「もっといろいろと勉強して、将来につなげたい」。未来を見据え、筆を走らせる。
(照屋大哲)