大人も子どもも共に学び 仲盛康治(仙台育英学園沖縄高・沖縄大非常勤) <未来へいっぽにほ>


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 沖縄は各地域で子どもたちの演劇が盛んです。今日紹介するのは、若手教師らが不登校生徒や職に就いていない若者と共に、平和を探し求める那覇青少年舞台プログラムの創作劇「那覇センセイション」。那覇市教育委員会の「スペシャリスト派遣事業(2003~05年)」がモデルです。文化、スポーツの専門家を学校等に派遣して直接子どもを指導してもらい、その指導を目の当たりにする教師に対しては自身の指導法改善につなげることもねらいの一つでした。

 成果発表会では短期間で急速な伸びを見せた子どもたちの力、それを引き出した専門家らの指導力が絶賛されました。特にエイサー、ダンス、空手、合唱の総合表現が圧巻で、子どもが感動と自信を得ることで互いに学び、教え合う力が育成できました。その後は「私たちもやりたい」という先生方のリクエストを受け、大人版ワークショップ「なは・せんせいション」が開催されました。

 「なは・せんせいション」では専門家の助手として、中高生が先生方を指導しました。振り付けに苦戦している先生方を励まし、挑戦する心を後押ししました。「専門家と中高生が短期間で大人の心を動かした! 子どもと関わる皆、本気の大人になろう!」。参加した仲田美加子教育長(当時)がほえました。大人の純粋な変容に心打たれた演劇ファンの脚本は平和劇として舞台化され、今も続いています。

 教育をカタカナで書くと「キョウイク」。この舞台には「故郷を愛し、互いに競い協力する心、強い意志、心に響くひらめき、国を興す力、大人も子どもも共に学び、活躍できる場」といったたくさんのメッセージが込められています。