玉城知事、国の「裁定的関与」制度の見直しを要望 全国知事会議で問題提起


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全国知事会で発言する玉城デニー知事=25日、山梨県(動画配信サイトのユーチューブより)

 沖縄県の玉城デニー知事は25日、全国知事会(会長・平井伸治鳥取県知事)が山梨県で開いている2023年全国知事会議に出席した。玉城知事は、米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設計画を巡り、国が都道府県へ委任する法定受託事務で知事が行った職務を国が裁決で取り消すことができる「裁定的関与」制度の見直しを図るための働きかけを要望した。

 これに対し、平井会長は「裁定的関与については既に報告書に盛り込まれている」と述べ、これまでも政府に提出してきた報告書に盛り込んでいると説明した。

 沖縄県は、新基地建設の大浦湾側の埋め立て工事で国が追加で提出した設計変更申請書を不承認とする処分を下した。しかし国は裁定的関与を用いて県の処分を取り消す裁決をした。国の裁決を巡って県と国の法廷闘争が続いている。

 玉城知事は国は「一方的」に県処分を取り消すことができる上、現行法制度では国の裁決の違法性を司法の場で争うことができないという不備があると指摘した。その上で「(国の)裁決の適法性について、司法の判断を仰ぐ道が閉ざされた現行法制度は公平公正なものとは言えない。地方公共団体の自主性や自立性、ひいては憲法に定める地方自治の本旨をも形骸化させる」と問題提起した。

 改善案として、行政不服審査法7条2項の見直しにより国による裁定的関与を実質的に廃止することと、地方自治法245条3号の見直しにより、知事が裁定的関与の適法性について、司法の判断を受けられるように見直しする案を示した。
 (梅田正覚)