南西石油で再生航空燃料を製造へ エタノール原料のクリーンエネルギー 親会社の太陽石油と三井物産の共同事業、28年度の開始検討


この記事を書いた人 琉球新報社
SAF(再生航空燃料)などの製造が検討されている南西石油(提供)

 石油精製や販売を手掛ける太陽石油(東京都)が、傘下の南西石油(西原町)でエタノールを原料にした環境負荷の低い再生航空燃料(SAF)や、軽油の代替燃料「リニューアルブルディーゼル」(RD)の製造を検討している。2028年度中の生産開始と、年間最大計22万キロリットルの製造を目指す。同社が26日、発表した。沖縄を離着陸する便を含む航空機や輸送機関への導入のほか、南西石油を通じた輸出なども視野に入れている。

 内閣府の「沖縄型クリーンエネルギー導入促進調査事業」に採択され、太陽石油と三井物産(東京都)が共同で検討を進める。南西石油の敷地内の遊休地約20万平方メートルを使い、製造設備を建設する。

 SAFは「持続可能な航空燃料」を意味する英語の頭文字。従来のジェット燃料に比べ二酸化炭素(CO2)排出量を大幅に減らせることから、脱炭素化の流れや航空業界での導入増加を背景に、供給網の整備が課題になっている。政府は2030年に航空燃料の10%(171万キロリットル)をSAFとする目標を掲げており、この値に照らすと南西石油での製造は大規模な事業になる。

 太陽石油によると、原料のエタノールは輸入と国産どちらも想定し、南西石油の桟橋、貯蔵施設を使うことで調達コストを抑える。三井物産が出資する米企業の技術を活用することで、SAFとRDの同時製造が可能。22万キロリットルのうち、9割をSAFが占める。

 具体的な納入先までは未定だが、沖縄を離着陸する便を運航する航空会社や、軽油を使うバス、トラックなど、地元での流通を含め検討していくという。
 (當山幸都)