うちなーぐち、ひらがなと漢字で表記を 「カタカナは外来語に用いるのが一般的」 市民団体、沖縄県に要請、署名も提出


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宮城嗣吉文化観光スポーツ部長(右)に署名を手渡すうちなーぐち会の源河朝盛会長(左)=25日、県庁

 うちなーぐち会の源河朝盛会長らは25日、県庁に宮城嗣吉文化観光スポーツ部長を訪ね、県が「原則カタカナ」とした表記法に対し、うちなーぐちは漢字とひらがなを用いた伝統的な表記法にするよう要請書を手渡した。同会は「カタカナは外来語に用いるのが一般的であり、歴史のあるうちなーぐちに用いることは文化を失うことにつながる。白紙に戻して言語圏別に再検討してほしい」と訴えた。1170筆の署名も提出した。

 源河会長は、国連教育科学文化機関(ユネスコ)が消滅危機にあるとした琉球諸語には奄美語、国頭語、沖縄語、宮古語、八重山語、与那国語があり、うちなーぐち(沖縄語)は、琉歌からも分かるように昔から漢字とひらがなで表記されてきたと指摘した。

 また、「しまくとぅばとは生まれ育った島々・場所の言葉で多様であり、ひとくくりにすると非常に分かりにくい」と批判。加えて「戦前生まれのネーティブ話者や県民に相談もせず、学者のみで決定したのはおかしい」と訴えた。

 県は、2018年にしまくとぅばの普及継承に向け、書き言葉のルール作りを目的に学識経験者らで構成する「県しまくとぅば正書法検討委員会」を設置した。

 同委員会は22年3月、全県的な表記の統一は「今後も丁寧かつ慎重に検討していく必要がある」とした上で、県の取り組みには統一的な仮名文字表記策定の必要があり、子どもにも分かりやすく、音が表記しやすいなどとして表記は原則、カタカナを利用すると決定。同年5月に決定内容を県に提出した。

 宮城部長は「普及継承したいという思いは同じ。伝統的な表記を否定するわけではない」と説明した。
 (座波幸代)