「生物多様性守る具体策示して」「基地内調査で新種発見つながるのでは」 日米の環境保全共同声明で期待や要望


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世界自然遺産登録地に隣接する米軍北部訓練場=2016年10月撮影(小型無人機で撮影)

 世界自然遺産登録から2年となる26日に発表された、本島北部地域の自然環境保全に関する2国間協力声明。遺産登録地域は米軍北部訓練場に接し、希少種の保全や廃棄物撤去が課題として残されている。声明で日本政府の基地内調査が可能となり、米軍と地域社会との連携促進も盛り込まれ、地元からは一定評価を示す声も聞かれた。一方で市民団体からは協力体制の実効性や具体性を求める声もあった。

 遺産登録地で訓練場もある東村の當山全伸村長は「2国間の協力や地元との連携が示されたことは良いことだ。生物多様性を守る取り組みなど、具体的な対策も示してほしい」と要望した。東村観光推進協議会の渡久山真一理事長は「訓練場には手つかずの自然が残っていると聞く。基地内の調査で新種の発見にもつながるのではないか」と期待した。

 米軍の廃棄物撤去などを求めて政府交渉を続けてきたジュゴン保護キャンペーンセンターの吉川秀樹さんは、声明が国家間の協定を根拠とすることに「一歩踏み込んでいる」と評価する。「環境省が米軍に対し、どの程度ものが言えるか。この枠組みをどう生かせるかだ」と、今後も注視する考えを示した。

 2019年の世界遺産登録推薦書の情報公開を求めたIPP(インフォームド・パブリック・プロジェクト)の河村雅美さんは、日米協力体制の合意文書の冒頭が黒塗りだったことを振り返り「新たな声明を出しても、推薦時の説明責任からは逃れられない」と協力体制の詳細について公開を求めた。
 (慶田城七瀬、武井悠)