点字ごみ袋、販売10年 自身の視力低下を機にハンマーとドライバーで自作 被災地支援や雇用創出も 沖縄・宮古島


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ごみ袋の開け口付近に点字方式を施す「ラッキーローズ」を発明し、東久邇宮平和賞を受賞した國仲智江子さん=27日、宮古島市

 【宮古島】宮古島市の國仲智江子さん(60)が発明した視覚障がい者も開けやすい点字方式のごみ袋「ラッキーローズ」は、市の指定ごみ袋に採用されてから10年がたった。國仲さんは視覚障がい者で、自身の視力低下が開発のきっかけだった。2011年には東日本大震災の被災地で活用されたほか、製造により市内の福祉事業所の雇用創出にも貢献。國仲さんは25日、知的財産の保護を促進し、社会に貢献したとして東久邇宮(ひがしくにのみや)平和賞を受賞した。

 開発の経緯について、國仲さんは「緑内障の影響で急に見えづらくなり、ごみ袋を開けるのに時間がかかるようになった」と振り返る。困難を工夫で乗り越えようと思い、試しにドライバーとハンマーで袋の開け口付近に凹凸を付けると、開け口がどこか分かるだけでなく、開けやすくなることを発見した。自作の点字方式ごみ袋が東久邇宮記念会の関係者の目にとまり、関係者の勧めで2006年に商標登録。発明が評価され11年に東久邇宮文化賞を受賞した。

 東日本大震災が発生した11年、被災地の宮城県気仙沼市と岩手県釜石市に点字方式ごみ袋500枚を手作りし、寄贈した。「被災地がごみであふれている様子を報道で知った。1枚作るのに5分かかったが、障がいのある方や高齢者の力になりたかった」と語る。

開け口付近に点字が施され、視覚障がい者も開けやすいごみ袋「ラッキーローズ」

 寄贈した被災地や県内外の盲学校からの反響や文化賞の受賞をきっかけに、商品化に向け動いた。13年には宮古島市指定のごみ袋に採用された。製造を委託した市内の福祉事業所2カ所では65人が従事する。2022年は52万枚製造した。

 視力が弱い平良つよしさん(67)=宮古島市=は販売当初からのラッキーローズ愛用者。「点字があることで開けやすさが全然違う。縛った時に点字が滑り止めになり、ほどけにくくなる」と絶賛する。

 文化賞に次ぐ平和賞受賞について國仲さんは「私のアイデアが多くの人の助けになっていることがうれしい。より多くの人の助けになるように、今後もラッキーローズが世の中に広まることを願っている」と喜んだ。
 (友寄開)