進学の資金、稼げる場所に 宮古島の「はなまる弁当」注文盛況 高校生8人が働く 「社会とつながる場に」


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子どもたちが手がけた完成間近の弁当=25日、宮古島市平良下里のはなまる弁当

 【宮古島】総菜の香りが立ちこめる作業場に完成間近の弁当が並ぶ。スカイネット名古屋(愛知県)は、生活困窮家庭の子どもが働いて進学費などを稼げる環境をつくるため、宮古島市平良下里で「はなまる弁当」を運営している。5月8日のオープン以来、子どもたちが手がける弁当はおいしいと評判が広がり、注文が増えた。取り組みへの理解も深まっている。

 スカイネットの関連会社スカイネット名古屋は、路上生活や引きこもりの当事者に就職先を紹介するなどの派遣事業を行ってきた。スカイネットの立野奨取締役は「引きこもりの子どもたちは真面目で一生懸命に働く」と語る。

 はなまる弁当は、ペンション「華」を間借りし、弁当を作って配達している。オープン当初の受注数は約30個だったが、現在では約80個にまで増えた。今の作業場でつくれるのは1日約80個が限度で、注文を断ることも増えてきた。発注に応えられるよう、もう少し広い作業場を探している。

子どもたちの居場所づくりや進学に関して必要な支援について語るスカイネットの立野奨取締役

 通信制高校の生徒8人が働いている。立野さんによると、学校に通えない子の中には引きこもりの経験者も多く、経済的な問題を抱えている場合も少なくないという。立野さんは「通信制学校の授業料は安くはない。子どもたちが、金銭的な理由で進学をあきらめてほしくなかった」と弁当屋を立ち上げた理由を話す。

 中学校1、2年生の時に不登校になったことがある生徒(16)は通信制高校1年生で、出勤は週4回程度。給与は学費や洋服代などに充てているという。「配達の際に、お客さんから『ありがとう』『おいしいです』などと声掛けされることもあり、充実感がある。職場のメンバーも優しくて働きやすい」と満足げだ。

 5日には、市の民生委員・児童委員の委員が弁当屋を視察した。委員の與那覇教子さんは「子どもたちの居場所づくりとしての機能もある。市にとって重要な場所だ」と強調した。

 立野さんは「市や学校関係者とのつながりを強くし、今後は引きこもりの当事者にもアプローチできるようにしたい」としている。また、子どもたちが活躍し、社会とのつながりが持てる場所を増やしていきたいとした。注文に関する問い合わせは電話070(8962)5479。

(友寄開)